皆さんこんばんは、管理人です。
さて。
昨今、何でも電子化が進んでいますが、そうなってはいけないのではないか、と管理人が考えるのが「連絡網」です。
最近は個人情報保護法やらで色々厳しくなっているほか、従前に比べて保護者が在宅しているケースが減少している事は重々承知ですが、本学では保護者会主導で電子連絡網が整備されつつあります。
今回、私が指摘する問題点は以下の通り。
[技術上の問題]1)
電子連絡網整備事業者(以下、事業者)並びに本学保護者会(以下、運用者)は、電子メールの転送システムを理解し、電子メールならでは問題点を理解しているか。
2)
事業者は、連絡メールの真正性・機密性・完全性を保障できるか。
3)
事業者は、電子連絡網を騙ったフィッシング詐欺発生のリスクを認識し、納入先に通知しているか。
[運用上の問題]4)(※上記の問題と通し番号にします。後で使うので)
運用者は、誤配信によるリスクを認識し、リスク低減のための処置を執行しているか。
5)
運用者は、電子連絡網が使用不可能な状況(例えば、大規模災害時など)において、フェールセーフを提供しているか。
6)
一部管理者は個人情報を閲覧可能、としているが、問題ないか。
[倫理的な問題]7)
運用者は、特定学年の保護者に対し、授業閉鎖連絡を用いて、任意加入の所を、半強制的に加入させた疑いがある。
では、次の各セクションで、問題点の詳細を述べていきたい。
[問題の詳細:No.1)]この問題は、電子メールに特有である。
電子メールというのは、よく誤解されがちであるが、赤外線のようなクライアント-クライアント(以下、Client-to-Clientの略語、CtCと用いる)通信ではなく、図1に示すように、クライアント―サーバー―サーバー―…―サーバー―クライアントという風に、いわばバケツリレーとも言うべき方式でリレーされている。

ということは、この途中のサーバーで障害が起きればどうなるか。
答えは簡単。「一切メールが届かなくなる」。
当たり前の事で、メールは次々にサーバー間を転送されるわけで、この途中のサーバーが障害を起こせば、メールはフォワードされなくなる。
これは、連絡の即時性も兼ね備えている必要のある連絡網においては、重大な欠陥ではないか。
ネットワーク(インターネット)を通じて運用される以上、どんなにがんばったところで、この問題は解消できない。
ちなみに、私の実体験では、5月のG.W.に実施した撮影会の出席確認をメールでお願いしたところ、1人から全然届かず、実際に当方のメールサーバーに到着したのは7月だったということがある。こういう事例は枚挙に暇がない。
[問題の詳細:No.2)]No.1で説明したように、電子メールは次々にサーバー間を転送される。
もし、この転送途中のサーバーに悪意あるサーバーがあればどうなるだろうか。
電子メール内容の改竄、ウイルス等の悪意あるソフトウェアの添付、色々攻撃手法が発生する。
これは勿論個人利用のメールであっても発生するが、問題の重要度が全然違う。
例えば、「明日から学校再開です」という連絡網メールを配信したとしよう。
配信プロセス途中のサーバーAでは、悪意あるユーザーが配信されていたメールを改竄していた。そこで、悪意あるユーザーが、この連絡網メールを発見する。そこでこの悪意あるユーザーは思いつく、「明後日からに書き換えよう」と。
こうして、一部の保護者に「明後日から学校再開です」というデマメールが出回った。
こうした攻撃事例を防ぐには、携帯電話メールのサポートを排除し、S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extension)やPGP(Pretty Good Privacy:何とも欧米人らしいシンプル感あふれるネーミングだ)による暗号化メールの配信、デジタル署名による完全性の確保を行わなければならない(そして、そのデジタル署名も、
日本ベリサイン社など、信頼できる認証局【Certificate Authority:CAという】の署名を必須とすべきだ)。
しかし、こうすると何が問題か。
要は、パソコンメールは「到着後すぐ見る」ことを重視していない。兎に角届けばいい、という設計思想であるから(それでもリマインダの整備など、かなり状況は改善されているが)、緊急性も重要視される電子連絡網においては、これは重大な問題と言える。
しかし、携帯電話サポートを行うと、PKI整備の意味合いが薄れる(携帯電話向け電子メールでは、PKIをサポートしている機種は、私も寡聞にして知らない)。
また、電子連絡網には訃報なども配信されることが運用者のウェブサイトで記載されているが、これらがサーバーを不法にリッスン(盗聴)している悪意あるユーザーにより悪用されないとも限らない。こうした問題の解決にはどうしてもPKIの導入が欠かせない。
[問題の詳細:No.3)]まだ事例が発生していないが、これから発生しうる、リスクの問題として記載したい。
昨今よく言われるように、電子メールは送信元アドレスを偽装することが出来る。もし、連絡網のアドレスを騙って、「事業者が変わったので再登録が必要」などと称し、フィッシング詐欺サイトへの個人情報入力を促すメールが配信されたとすれば、どうなるだろうか。
保護者の中には、パソコンに疎い人も多い。こうしたフィッシング詐欺の発生確率は、かなり高いといえる。
特に、こうした連絡網は、緊急性・即時性が高いため、よく確認しないままフィッシング詐欺サイトで再登録を行ってしまう可能性がある。
「運用者・事業者は、再登録に際しては書面で確認します」という記載もないので、本当に起きる可能性がある。これが特に危険だ。
[問題の詳細:No.4)]実際に本学の運用(テスト運用中ではあるが)では、誤配信が起きてしまった。早速である。
誤配信を起こさないよう、細心の注意を払っています、等と言われても、実際に起こった誤配信への対処法の報告も、何故そのようなインシデントが発生したのかという検討会もなく、「保護者会がやることですから安心です」の一言で信頼しなさいと言うのはどだい無理な話である。
運用者は、既に発生してしまった誤配信について、書面等で正式に謝罪し、今後どうすればそのような誤配信が起きないか、専門家を交えて検討し、「今後はこういう対応をします」というインシデントレポートを記載すべきだ。
そうしないと、既に誤配信が起きてしまっている、という経験(ナレッジ)が継承されず、同じような問題を再発させかねない。今回は、まだ「テスト配信中」のインシデントであるから、影響範囲は狭いものの、もし、実運用中に誤配信が起きたら…。そのインシデントの影響範囲は計り知れない。
[問題の詳細:No.5)]これは、連絡網だから、であるが、兎に角、連絡網のようなシステムにおいては、伝達手段を二重化・三重化してフェールセーフを提供し、出来うる限り完全に近い運用を行うべきである。
しかし、現行のシステムでは、「電子連絡網に同意しない人」だけ、限定的に電話連絡網を導入することになっている。
もし、大規模災害(サーバー障害も災害と言えるので、ここに含める)発生時に、電子連絡網が利用できない場合はどうするつもりなのか。
[問題の詳細:No.6)]運用者のウェブサイトを覗いてみると、"うまく加入できない人のために、管理者が個別のメールアドレスを参照可"とした上で、"一件一件確認するので、大量流出することはない"としている。
しかし、個人情報漏洩というのは、数の問題ではない。1件漏洩しようと、1000件漏洩しようと、個々の個人情報の重要性は変わらないのだから、情報漏洩が起きること自体を問題視しなければならないはずである。
しかし、記載されているのは「大量流出することはない」、だから安心せよ、とこういう事である。
大量流出することがなければ、一件や二件ぐらい流出しても問題ないというのか。冗談ではない。
[問題の詳細:No.7)]これは私の在籍した学年で起きた事例である。
私の在籍した学年では授業閉鎖が10月の一時期多発したのだが、その際の電話連絡網で電子連絡網に加入するように、という旨の連絡が流れたという。
本来、こうしたサービスは任意加入であるが、女性専用車問題と同じく、半強制という形で実施されたのだろう(実際、当該学年の加入率はほぼ100%だという。対して、2個上の先輩学年は加入率がかなり低いらしい)。こうしたデータをしてみても、どこかで強制が行われたのではないかと勘ぐられるのも自然な事ではないか。
[では、結論としてはどうすべきか]結論としては、一切こうしたシステムを導入すべきでないと思う。
欠陥だらけだからだ。
今事業者のウェブサイトを確認しても、「うちはセキュリティ面では大丈夫です」という旨の記載しかない。具体的な技術支援がない。「うちの電子連絡網はデジタル署名しているので、改竄されることはありませんよ」「うちのデジタル署名は××社から取得した信頼される電子署名です」、という技術支援がなければ、私は賛同しかねる。私の保護者にもそうアドバイスしている。
そもそも導入に際した保護者の声に「他校では採用しているのに…」というのがある。
いい加減にしなさい、とその保護者を諭したい。個人情報を扱うとっても重要なシステムである。何も早急に他校と横並びになる必要はない。どういうデメリットがあるか、どういうメリットがあるか、フェールセーフは整備できるか、など、検討項目は多岐にわたるはずだ。そもそも、総会も開かず委員会だけで「臨時運用」のものを導入し、多くの保護者に参加を強く求めた。いくら、「インフルエンザの猛威が近づいている」とはいえ、個人情報という重要な情報資産を扱うのである。よくよく検討すべきではないか。(因みに、現在は臨時運用と言うことで、運用ルールすらない)
では。
なお、図で用いた画像は、マイクロソフト クリップアートです。図の縮小化を行った他は、何の改変も行っておりません。
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